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小さなねずみが猫の入っているコマの周囲をウロチョロしています。1988年に描かれたときには猫のコマの縁取りが青インクで描かれていたので、「ブルーなねずみの迷路」と名づけましたが、ちょっと描き足しましょうと描かれたのを見れば、いよいよブルーな迷路になりました。ねずみも青い世界をウロチョロと、ご苦労なことです。コマ猫も描き足され、背景も青をベースにモザイク調に仕上げられました。ねずみの苦労を思ってか、一応の通り道が白く示されています。久下氏が楽しんで描き足しをしたんだろうと思わせる仕上がりです。

久下氏がずいぶん昔に描いたスケッチ風の猫絵をパラパラと見直し、手を入れ再生した作品がいくつかありますが、そのうちの1点です。元絵は猫3匹が踊っている図でしたが、再生するにあたって左右に１匹ずつ加え、5匹の猫が踊る図にしています。猫の背後についたてを配して、彩りよろしく上下に模様を散らしています。元絵の猫たちは、目が点のすっとぼけた表情を持っていましたが、再生絵では個性的に変貌しています。久下氏がどんな気分で描き加えをするのか、聞いてみようとは思いますが、大変な早業で描き足しが進みますので、どうも無我の境地で手が動いているのではないかと思われます。従って、描き加えの心をインタビューする機会が、まだありません。